Tuesday, October 25, 2011

miles davis / milestones

会社からの帰路で、久しぶりにマイルス・デイヴィスの『milestones』を聴いたのだが、これが良かったなあ。大学時代は表題曲以外はそんなに好きではなかったけど、なかなかどうして、他の曲も素晴らしいじゃないの。

全体的にアップテンポの曲が多くて、リズムセクションのサポートが素晴らしいんだと思うけど、とにかく全編グルーヴしてる。学生のときはFour & Moreとか聴いた後だったから、ああいうモードバリバリのものが聴きたかったんだけど、こういうハードバップもいい。まあ、マイルスつかまえていいねもなにもあるか!つう話ではある。

でもやっぱり改めて聴くと表題曲は好きだなあ。逆に一般的には、この曲はマイルスがモードジャズを最初に導入したと言われていて、よくそのマイルスのソロは流石だけど、キャノンボール(とコルトレーンも)がモードのコンセプトを理解していない、という評判を耳にする(これは『カインド・オブ・ブルー』のときも同様)。まあその後のモードジャズの展開を知った上で聴けば確かにそうだ。それまでの複雑なコードチェンジから離れて、モード一発、つまりコードによる展開が皆無であることがコンセプトの曲であるはずなのに、コードチェンジ風のフレーズが随所に出てくる。まあ間違いなくキャノンボールは単一のモードというスタティックな状態に我慢できなくなって、思わず展開してしまったんだろう。高校生ギタリストが早弾きしちゃうみたいなものだ。そしてそもそも、キャノンボールのファンキーで張りのある音色が、クールなモードジャズにあまり似合わないという面もある。でも、そういうコンセプト云々といった前提抜きで彼のソロを聴いてみれば、なかなか上質のジャズじゃないですかね。あの音色でまさにスイングしていくフレーズのダイナミズムは、流石キャノンボール。そもそも僕、キャノンボール凄い好きだからなあ。意外に思う人がもしかしたらいるかもしれないけど。

しかし、amazonの紹介文、ちょっと面白すぎる。「ジョン・コルツレイン」やら「ポール・シャンバーズ」、「ビーポップ」なんてのもあり、果ては「『ストレート・ノー・チェイサー』でコルトレインは、大胆に和声のソロを、アダリーはトラネのスーパーソニック風を受け継いで、シャンバーズはかっこいいソロでまとめてくれる。」だと。「アダリーはトラネのスーパーソニック風」! なんだこれ。まあ「トラネ」は多分トレーン(コルトレーンの愛称)のことだけど。マイルスのアルバムくらいちゃんとした解説いれられなかったのかねえ。

以下、紹介文引用

1958年、デイビスはサクソフォン奏者のキャノンボール・アダリーとジョン・コルツレイン、ドラマーのフィリー・ジョウ・ジョーンズ、ベース楽器奏者のポール・シャンバーズとピアニストのレッド・ガーランドと出会った。ジャッキー・マックリーンの「ドクター・ジャッキー」と、ジョン・ルイスとディジー・ジレスパイの「ツー・バス・ヒット」と、セロウニウス・モンクの「ストレート・ノー・チェイサー」などのビーポップとブルース調懐かしい曲が収録されている。アルバムの流れとしては、名作の「マイルストーン」で未来に向けて進んでいき、次にその流れで歴史的な『カインド・オブ・ブルー』がくる。デイヴィスの曲の「シッドズ・アヘッド」はベニー・ゴルソンの「キラー・ジョウ」と「ビリー・ボーイ」の様な、なめらかで美しいリズムだ。ガーランド シャンバーズと、ジョーンズ、そしてアーマド・ジャマールが共演している。このすばらしく再度録音された盤は、「ツー・バス・ヒットでのジョンのふらふらしたリズムと、デイヴィスのしっかりとした歌詞が上手に融合されている。「ストレート・ノー・チェイサー」でコルトレインは、大胆に和声のソロを、アダリーはトラネのスーパーソニック風を受け継いで、シャンバーズはかっこいいソロでまとめてくれる。このアルバムは一流なグループがこの世に出した一流な作品だ