Sunday, August 28, 2016

追跡 − なぞる謎る展コンサートのための



地下室で
ミキシングボードのつまみを回す
水面下で戯れる電気雑音は
鉱石の回路
で増幅され影が
リヴァーブによって折り重なり
高音の発信音へと
変成する
編成する
ホワイトキューブに囲まれたエーテルの振動
高温の外気を求め
上昇しては破裂
し、膨らみのある中音域へと
蘇生する
フィードバック音響が示す
塑性に
暗がりに結晶する耳が
ノイズのスペクトラムに旋律の稜線を与える
戦慄の領域
持続する電子音の水平線から
Gibson ES-175
鉄の糸が
中空のボディを鳴らすと
磁場は攪拌され
銀色のピックアップを駆動する
音と音との空隙
律動が示す
小節線
を飛び越え
弦に与えられた異物を震わせ
白と黒との鍵盤に目配せをしながら
切り結ぶ軌跡をなぞって進む
今(今?)
身体に蓄えられた記憶を辿り
テクストを記述する
ギターを爪弾く
この奏者、あるいは私は
あるいはあなたは
何を見ているのか
振り返っても足跡は見えない
思い出せない形を覚えているか
忘却の上に構築される
旋律はあるか
生成される小さな歴史と物語
追跡せよ
もう途絶えてしまった痕跡を追って
暗い夜が隠す
形相を探せ

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Thursday, August 25, 2016

杉森大輔×諸根陽介×佐々木敦 ライヴ&トーク(山本浩生個展イベント)

杉森も所属する批評家集団アラザルのメンバーで、美術家でもある山本くんの個展のイベントでライヴします。 同じくアラザルの諸根くんとお互いにソロをやった後にデュオもやります。 杉森はギターとエレクトロニクスを使った電子音響の即興パフォーマンスをする予定。
また今回のライヴに当たってのテクストはこちら。ライブでは69年製のGibson ES-175(フルアコのギター)と、64年製のFender Prinston(アンプ)という、僕にとってはいつもの組み合わせでやります(それ以外の機材も使うけど)。凄く良い音なんでそれだけでも聴きにきて欲しいところ。
ライヴの後は批評家でアラザルの恩師である佐々木敦と杉森・諸根でのトークセッションもあり、盛りだくさん。 ご都合つく方は是非。
もちろんイベント前には山本作品の展示も観覧できます(展示のみの場合無料)。

  • 杉森大輔 ソロ
  • 諸根陽介 ソロ
  • 杉森×諸根 デュオ
  • 杉森×諸根×佐々木敦 トーク

  • 日時:8月28日(日)18:00~20:00
    入場料500円(1drink付) 
    『なぞる謎る』 佐々木敦+アラザル企画 山本浩生個展
    https://yamamotonazoru.tumblr.com/
    於:新宿眼科画廊
    〒160-0022 東京都新宿区新宿5-18-11
    03-5285-8822
    佐々木敦のTwitterからの抜粋

    なぞる謎る展のページからの抜粋。
    杉森大輔と諸根陽介は、アラザルのメンバーで、ともに音楽家で批評家、批評家で音楽家です。杉森のレパートリーはモダンジャズから実験音楽まで幅広く、知的でクールそして極限まで洗練された感性をもっています。今回はギターを使ったエレクトロアコースティックパフォーマンスを展開します。諸根陽介は、原理的な<音>を極限まで追求し、そのライブは、観客に<音>の「発見」をもたらし、それはいつも刮目させられるものです。そのような2人のコラボレーション、ソロ、そして終わった後に佐々木敦と2人のトーク。この日は、視覚聴覚言語、それぞれにわたり超/高スペックな表現で観客を唸らせます!!!