アラザル vol.2でもインタビューさせていただいた円城塔さんが『道化師の蝶』で芥川賞を受賞されました。円城さん、おめでとうございます。
受賞作は、というか円城さんの作品はいつでもそうですが、物語とは、書くこと、読むことが、単に文字を書き付けるということ以上に、それを書き、読むと言う動作と、それに伴う効果の中にこそ存在しており、そしてその効果の中に存在している作中人物とのコミュニケーションはあり得るのか、というようなテーマ系を持っています。そしてそれは人の認知限界を超えたところに存在するかもしれない、未知なる他者とのコミュニケーションの可能性を探る、野心的な試みでもあります。
ちなみにこの作品は旅の間に読まないと効果のない小説とはどんなものか、というような記述で始まるのですが、私はちょうど海外旅行のフライト中に読んでいたのでとても印象に残っています。作中では東京—シアトル間の飛行の場面から物語は始まります。
現時点での円城さんの最新作は『群像』2012年2月号に発表された『松ノ枝の記』ですが、これもやはりテーマとしては同様のものだと思います。というか、さらにそれを押し進めた作品だと思いました。そして様々に学際的なディテールが詰め込まれながらも感動的な読後感があり、こちらもぜひ早期に単行本化すべきだと思いますし、無論そうなるでしょう。こちらも是非多くの人に読んでもらいたいところです。
ちなみにアラザルvol.2でのインタビューは現時点で読めるインタビューの中で、特に充実したものだと思います。HEADZのWebストアで取り扱ってもらっていますので未読の方は是非。
ちなみに上の写真はインタビューで単行本にもなっている『烏有此譚』について、作品の構造を説明してもらっているときのもので、ノートにある図形は小説のプロットだそうです。ユーモアが伝わるでしょうか。
1 comment:
受賞は深い夢の中だから・・・
円城塔さん、ついにやりました。
↓のサイトで、円城さんの記事がありました。
http://www.birthday-energy.co.jp
円城さんは、「無欲で平坦」が特徴とか。
同時受賞の田中さんのインパクトが強すぎて、
イマイチはじけなかったけど、あるいみ良かったかも。
『道化師の蝶』読まなきゃ~。
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