Sunday, June 21, 2009

日記 2009/06/20, 21

・昨日はアラザルでvol.3に向けての会議。企画やインタビューのアイディアについて議論する。

・その後の飲み会で、ロックはもうソニックユースだけで良い。というような話題で盛り上がる。ソニックユース、本当にすばらしいバンドだと思います。思い入れありすぎます。

・実家の近くのブックオフでポール・ヴィリリオ『パニック都市』、J・G・バラード『時の声』、ジャン=リュック・ナンシー『神的な様々の場』、ピエール・クロソウスキー『ニーチェと悪循環』を買う。しかし読むのは少し先になりそうだ。今はフーコーの『言葉と物』を読んでいるが、読むのが遅くて全然いつ読み終わるのかわからない。

・少し前だが、水谷浩章のバンド phonoliteの『Still Crazy』を聞いたが、これが名作。かなり大所帯のアンサンブル・ジャズだが、ホーンセクションがリズミカルに盛り上げていくような類いのいわゆるビックバンド的な編成ではなく、2本のフルートを中心にすえ、トロンボーンやチェロの音色が全体を包み込むようなとても穏やかな演奏が聴ける。中でも中牟礼貞則のギターは絶品。ジャズギターの一番美しい音色のイメージを再現してくれているようで、なんというか心が温まるような気持ちになる。

Saturday, June 13, 2009

Lee Konitz, Don Friedman & Attila Zoller / Thingin

Lee Konitz, Don Friedman & Attila Zoller / Thingin
・この前渋谷で買ったLee Konitz, Don Friedman & Attila Zoller / Thingin (hatOLOGY 547)を聴く。2000年の録音である。ちなみに、このリー・コニッツという人はモダンジャズでも50年代から活躍している、つまりチャーリー・パーカーなんかと同時代の人であるんであって、未だ活躍をしているのには恐れ入ります。この作品はアルト、ピアノ、ギターのトリオ。50年代からコニッツはギターとのデュオで信じられないような名演を残しているけれども、ここでも自分のソロの時にはピアノを抜いてギターとのデュオで演奏している箇所があって、やはりすばらしいです。まあ、やっぱりかつてのクールネス全開で切れまくっていた録音ほどのひりひりした緊張感は無いかもしれないけど、一時代を築いてきた人だけが放つことができるオーラがあります。あとこのアルバムで発見だったのは、ドン・フリードマン。不勉強のため、彼は名盤「サークル・ワルツ」でしか知らなかったけど、その後も活動を続けていたんですねえ。ジャケットを見るとやはり相当にお年を召されていらっしゃるが、タッチも指さばきもシャープで、むしろ瑞々しい。
このアルバム、実はこれを書いている時点でまだ最初の2曲しか聞いていないんで、これから後の方の曲も聴きます。

Sunday, June 07, 2009

日記 2009/06/07

・アラザル2、大手書店などで発売開始してます!

・ヒアホン vol.2にジム・オルーク『I'm happy and I'm singing and a 1, 2, 3, 4』のディスクレビューを書きました。

・しかし、ヒアホン面白いです。この雑誌でしか紹介されないような音楽がたくさんある。と思う。他の音楽誌をチェックしている訳ではないので・・・。そのヒアホンvol.1を読んで買ったSalvatore Sciarrino『Orchestral Works』が良い。3枚組で、一枚目しか聞いていないが、とても繊細な響きの弦楽作品。

・今日はアップリンクでロシア革命アニメーションを見てきた。ジガ・ヴェルトフ監督による「ソヴィエトのおもちゃ(1924)」と、ウラジーミル・タラソフ監督の「射撃場(1979)」が特に気に入った。前者は24年の作らしいが、音楽の録音がかなり高音質だったのは、後から別に録音したからだろうか。後者のBGMはフリージャズだったが、これも相当にスタイリッシュだった。

・今日は8枚ほどCDを買ったのだが、全部紙ジャケであることに家に帰ってから気がついた。

・先日ヘルムート・ラッヘンマンのコンサートに行った。すばらしい演奏会だった。会場では三上君と西田さん、諸根さんに会う。彼らも絶賛していた。特に感銘を受けたのはクラリネット、チェロ、ピアノによる『アレグロ・ソステヌート』。僕は現代音楽ではクラリネットの演奏が好きなことが多い。よく使われているしね。

Saturday, May 09, 2009

日記 2009/05/09

・明日、いよいよ文学フリマアラザル2が先行発売です。その後、書店に展開します。宜しくお願いします。

・GWはほとんど家にいて、幾つか本を読んだ。といっても読むのが遅いのでほんの数冊ですけど。

・その中ではまず桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が面白かった。不勉強ながら僕にはこれが初の桜庭作品。とても切ない青春小説。最後にカタルシスが襲うあたり、ある意味ヘッセとかに近いものがある。ライトノベル作家として活躍していた頃の作品だと思うのだが、十分文学的と言えるのではないか。何をもって文学的か、ということは今全く考えていないものの。さっき『赤×ピンク』も読んだが、どちらもモナトリアムを乗り越えるための条件と、それを阻害するようなトラウマをテーマにするような作品で、まあそういう意味ではやっぱり中高生、つまりライトノベルの読者に読まれるべき小説ではあるのだろうな、と感じる。でも、そのモナトリアムという閉じた世界から、その外側にある社会的な世界という一つ大きな世界へと視界が広がる瞬間に、一つメタへの視点の移行があり、その辺りの雰囲気がもしかしたらとても今日的なのかもしれない。『砂糖菓子〜』だとそれは兄の存在だろうし、『赤×ピンク』では「八角形(オクタゴン)」がそれに当たるだろう。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

・もう一つライトノベル的な作品として、米澤穂信『春季限定いちごタルト事件』を読む。米澤穂信も初めて読む。というか、BRAINZで佐々木さんが紹介していたのが気になったので読んでみた。いわゆる「日常の謎」を書くミステリ作家らしく、だからもちろん人が死んだりすることはない。少なくとも今のところ(この作品はシリーズ第一作)。しかしこの作品は(これも佐々木さんから事前に聞いていたことだが)、主人公が探偵なのだが、その探偵であること自体に疑問というか、不自然さを感じており、普通の人=「小市民」になろうとしていて、このあたりがそもそもミステリというジャンル性に対する懐疑につながっていて、軽快な文体とそのメタミステリ的な構造の面白さにかなり夢中になって読みました。

春季限定いちごタルト事件

Tuesday, May 05, 2009

池田亮二展



東京都現代美術館で行われている池田亮二展に行ってきた。


東京都現代美術館の広い地上の1フロアと地下の1フロアを、それぞれ事実上1つのインスタレーションのみで構成するという(その他にも幾つか作品はある)非常に大胆な構成をとっていて、またそれが成功していた。特に地上のフロアで展示されている"data.matrix"と"data.tron"は圧巻。この二つは同じ空間での展示であり、またそれぞれが音と時間を同期しているため、事実上一つの作品と考えてよい。"data.matrix"は直方体状のオブジェクトに格納されたプロジェクターを10並べ、それぞれが壁に映像を投影する作品だ。それぞれの映像は"data"を可視化したしたものであることがわかる。3次元空間に点や数値をプロットしたものであったり、UNIXでファイルを一覧した時に表示されるような画面であったりするものが、それぞれは高速に、あるいはゆっくりと変化している。またプロジェクターを格納した直方体にはスピーカーも格納されており、そこからサインウェーブやクリックノイズが発されている。
また"data.tron"は"data.matrix"が投影されているのとは別の、入場する方向とは逆向きの壁に3つのプロジェクターを使って投影されている。投影されているものは"data.matrix"と同じテイストのものだ。


それが、ある瞬間に発せられるパルスによって一度に暗転し、すべての映像が同期して動き出す。縦、あるいは横に同期をとった動きを一定時間継続した後に、もう一度パルスが鳴り響くと、一転して白黒の非常に細かな数値の列が画面上を覆い尽くす。それぞれの数値は横方向にスクロールしたり、停止したりを繰り返す。画面いっぱいに広がった数値は遠目にはホワイトノイズにしか見えない。


この状態が暫く続いた後に、暗転して、一つのサイクルが終わる。




この作品の意図するところは、名前にも現れているとおり「データ」という存在である。データとは現代的にはほぼコンピュータで計算可能な情報のことをさしている。そして改めて確認するまでもなく、コンピュータで計算可能なデータは0/1に量子化されたデジタルデータだ。複雑な構造をもつデータもすべてはこの極限的に細かな単位にまで還元することができる。そしてコンピュータで扱うことのできる音や画像の構成の最小単位は一つの周波数、一つのピクセル等であり、これらを用いてそのデータの構造を可視化し、可聴化していくことが今回のインスタレーションの、敷いては池田亮二という作家が制作してきた作品の大きなテーマである。そしてそれらの構築された作品が、最終的にホワイトノイズのような数値の海に飲み込まれるところで、ほとんどカタルシスのようなものを感じることができる。さて、このカタルシスはどういった性質のものなのか。これについてはもう少し考える必要があるかもしれない。僕はこのホワイトノイズにすべての画面がおおわれたところでとても感動したが、池田亮二のごときモダニズムの作家がこのカタルシスを用意していたのかどうか。性急には判断できない。

Wednesday, April 22, 2009

アラザル2

遂に!アラザル2が発売されます!

今回は何と400ページ超えの超大作。しかも大物文筆家へのインタビューが4本!買わない手は無い!

杉森は『おととことばのあわいに』というタイトルで、歌と言葉、歌唱と詩および朗読について、ジャック・デリダの『グラマトロジーについて』を読みながら書きました。
あと、インタビューでは円城塔さんに取材等しました。この記事は他では読むことのできないようなないようになってます。必読。

アラザル2、まずは5/10の文学フリマ、F-13<批評誌「アラザル」>ブースで先行発売です。
その後、主要書店に展開します。
価格は1000円。
http://gips.exblog.jp/10764777/

Sunday, January 11, 2009

日記 2009/01/11

・文學界2008/10月号で、芥川賞にノミネートされている田中慎弥「神様のいない日本シリーズ」を読む。部屋に閉じこもっている息子へ向けて語る、父親のモノローグという設定の作品で、タイトルにある通り随所に日本シリーズ、特に西鉄/西武ライオンズの2度の3連敗からの4連勝という奇跡的な優勝のエピソードを参照しながら、そしてベケットの「ゴドーを待ちながら」を参照しながら、しかもそれらの参照の接続がとてもスムーズであるという、非常にリーダブルな寡作だった。父親の語りがいつしかその父親の父親の描写にずれていったり、ベケットの戯曲の引用が入ったりと、いわゆる語りの横滑りのようなことが、祖父-父-息子というメタ方向にも起こっており、しかし主人公、というか唯一の実在する人物である父親が、彼以外の人物と直接コミュニケーションをとることができないという、極めてベケット的なテーゼの、しかし現代的な表現はなかなかに読み応えがあった。読みはじめた時には、割と普通の作品なのかなという印象だったが、読後感はなかなかにすばらしい。

・ベケットと言えば、最近『マロウンは死ぬ』を読んで面白かったので『モロイ』を読み返そうかと思って探したら無い。そういえば友人に貸す貸さないという話をしていたことを思い出し、電話で確認するとどうやら借りていない、ということらしい。結局普段使っていない本棚ではない棚から出てきたのだが、この見つからないものは自分の物とは言えないという、極めてベケット的な状況にあったのだなぁ、などと馬鹿みたいなことを考えたりした。

Monday, January 05, 2009

新年

明けましておめでとうございます。

ついにゼロ年代も最後になりました。しかし9年というと、69年にせよ79年にせよ、文化的には次のディケイドを予告するような様々な作品がこれまでには作られてきたことは、菊地成孔を参照せずとも周知の事実。どんな作品が現れるか、見逃さないようにしたいものです。

と、そういう話とは全く違いますが、最近YouTubeを巡回していて見つけた動画を紹介。数年前にも別のものを見つけたことがありますが、ハードロックにおけるスーパーギターテクニックの、さらに極点。というかちょっと一線を越えた物凄さです。年始の景気付けということでお楽しみ下さい。

Michael Angelo Batio Double-Guitar Solo




それでは、今年も引き続き宜しくお願い致します。

Tuesday, December 30, 2008

日記 2008/12/29

・ベケット『マロウンは死ぬ』を読む。面白い。前半の何も起こらなさのようなものから、後半のある種ドラマチックと言える展開がある事自体に少し驚いた。もっと何もないまま終わるのかと思っていたが、死に溶け入るような最終盤は感動的ですらある。

・最近買った某雑誌の特集が、それと意図してはいなかったが次の『アラザル』で書こうとしていることの参考になりそうであることに気づく。

・次の『アラザル』といえば、某作家さんにインタビューをしました。詳細は追って告知します。

・そういえばここでは書いていなかったが、佐々木敦『批評とは何か?』が出版されました。これはその名も『批評家養成ギブス』という、僕が参加していた塾と言うかワークショップというか、その講義録な訳ですが、恥ずかしながら僕の駄文も生徒の書いた文章として乗せてもらっています。しかし佐々木さんの講義自体は非常にスリリングであり、批評を志す人ならずとも読み応えのある本になっているとおもいます。その他『アラザル』のメンバーの文章も読めます。

・知人に久しぶりに連絡したら、その『批評とは何か?』を立ち読みして、僕の名前を見たと言われた。まあ書店で売っているものであり、普通のこととはいえ、少し驚いた。

・今年の多分更新はここまででしょう。最後は更新がなかなかできなかったので、来年はもう少しポストしたいと思います。皆様良いお年を。

Monday, December 01, 2008

日記 2008/11/30

アラザルでは現在vol.2発刊に向けて作業を進めています。会議では企画とかの話をすすめてますけれども、しかし自分の原稿について早いところ枠組みを決めたいが、まだどういった文章にするのか全然未定。

・あとアラザルブログを活性化しようってことで、なるべく毎日更新ができるように持ち回りでいろいろ書いていくことになりました。僕も既に一つポストしています。

・で、アイディア集めということもあって今はいろいろな著作をつまみ読み。

  • ピエール・ブーレーズ『参照点』

  • 江藤淳『江藤淳コレクション4』

  • ミシェル・セール『白熱するもの』

  • ジャン・ボードリャール『シミュレーションとシミュラークル』

  • 円城塔『Boy's Surface』


・文フリで販売した『アラザレ』ですが、僕は企画にはそれなりに参加したものの執筆の段になってドロップアウト気味(少しは書きました)、完全にコミットしきれず客観視できるからか、読んでみると結構面白い。特にSkype批評は通常の読書体験とはやはり違った何かがある。それぞれの書き手も個性があって、アラザルのメンバー紹介としても機能している。試験というか練習段階では参加していたのですが、そのときの印象だとこんなものを人様に見せてよいのか?という気がしていましたけれども、今回掲載したものについては少なくとも僕個人が楽しめたので良かった。

・週末はシンポジウムなどを聴講。

Sunday, November 23, 2008

近況

久々のポスト。まあ毎度のことか。

・2週間くらい前になりますが、ヨーロッパまで新婚旅行に行っていました。滞在したのはリスボンとパリ。リスボンでは晴天にも恵まれ、蒼碧の空と海を、そして夜には暗闇にのみこまれる古く脆い建築物を見、パリではルーブル、オルセー、ポンピドゥーの美術館を巡ってヨーロッパの主に絵画の歴史を表面だけでも体験してきた。特に(おそらくピカソ美術館が改装中であるためだが)ルーブルで膨大なルネッサンスの宗教画をうんざりするほど見せられた後に、企画としてふとピカソの展示があった時など、「人類は進化している!」などと思わず感嘆してしまった。

・しかしポルトガルではみんな人が良かった。切符の買い方に戸惑っていると、英語が話せないおばちゃんが一生懸命ポルトガル語で教えようとしてくれた。結局わからなかったけれども。

・その旅行中に秋葉原では文フリがあり、アラザルメンバーでは今回批評実験として『アラザレ』というミニコミを作った。一応僕も書いているけれども、旅行とスケジュールが被りまくったため執筆作業は半分くらいの参加。事後告知で申し訳ないですが今更入手は困難ですので、読みたい人は直接に言ってください。貸します。

・BRAINZ第3期も幾つか受講してます。

・ジュリア・クリステヴァ『セメイオチケ(1)記号の解体学』を読む。後半、仏文の分析になったあたり以降はちょっと今回は断念。それまでのインターテクスチュアリティ的な議論等は大変面白く読んだ。

・ブーレーズの『参照点』の最初のエッセイ(論文?)を読む。面白い。さすが現代音楽の理論的支柱だけあって、安易な古典回帰や人間中心主義、個人主義を批判している。というか罵倒している。というわけで今はレポンを聴きながら書いてます。クール!

Thursday, October 16, 2008

Ana Moura

スターバックスでニーチェを読んでいたところ、ふと泣きたいような気持ちになってきて、そこまで移入して読んでいたのかといささか驚いたが、実際はBGMでかかっていた音楽に感動していたのだった。ジプシー的なギターと情熱的な歌唱で、ファドの歌手かなーと思って店員に訊こうかと思ったが、有線で流しているとしたらわかる訳も無し、ということで一度あきらめるも、帰り際にやはりと思って訪ねてみたら、店内で試聴できるCDに収録されていた。
店でかかっていたのはAna Moura "Fado de Pessoa"。ファドなんて一度も聴いたことがないし、当然この歌手も初めて名前を聞いたが、すばらしい歌唱力。不覚にもスタバに一本とられた。

Last.fmで色々聴ける。
http://www.lastfm.jp/music/Ana+Moura?autostart=1

あとはYouTube






今年であった音楽の中で、特に感動的な出会いの一つかもしれぬ。

Tuesday, October 14, 2008

最近の色々

アントナン・アルトー『神の裁きと決別するために』

最近読んだ本
・アントナン・アルトー『神の裁きと決別するために』を読んだ。決然とした意思の強度と文体の速度など、極めて刺激的な読書体験があった。聖と俗、主体と客体の一致という点でバタイユを彷彿とさせる。
・というわけで読み止しで放ってあったジョルジュ・バタイユ『内的体験』を読む。まさに主体と客体の区別がなくなる地平での「体験」についての書で、これも極めて刺激的な本であるが、しかしちょっと僕の方がついていけていない点があるのが残念。また腰を落ち着けて再読したい。
・続いてアントナン・アルトー『ヘリオガバルス』を読み始めたのだが、うまく入り込めず。
・今はフリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』を読んでいる。高校、大学でそれぞれ読んでいたて、読了はしなかったが、それでも今読むと結構この本から得たものは多かったような気がする。やはりすばらしい。しかし今読んでいるのは中央公論社の「中央バックス 世界の名著」シリーズなのだが、ちょっと注が多すぎる。

最近見た映画
・フランシス・コッポラ監督『コッポラの胡蝶の夢』を見た。夢と現実が交錯し、円還的時間のなかでの老い、生と死、愛と到達不能性などがテーマになった、非常に美しい映画。必見だけれども、これももう終わってしまったようですねえ。

最近見たライブ
・少し前になるけれども、Amplify 2008 Lightを見た。3日目の演奏で、「キース・ロウ/Sachiko M」、「山内桂/吉村光弘」、「キース・ロウ/中村としまる」というDuoを3つ聴くことができた。特に後の二つの演奏が個人的には良かった。中でも山内桂氏のサックスはエヴァン・パーカーを通過した後で、独自の音色を作り上げており、特筆すべき個性を持っていた。
・HEADZのイベントでD.V.Dとテニスコーツの対バンライブを見た。これはD.V.Dの方が面白かった。D.V.Dについてはここで書く記述レベルだと、見ればわかるでしょ!ってくらいのことしか書けないくらい、体験したときの面白さが格別だ。それに比べてテニスコーツは、うーん、とりあえずギターの演奏の技術的な未熟さがどうしても気になってしまった。音楽的にも、僕としてはCDで作り込まれた音像の方が優れているように思う。

最近聴いたCD
・略
・あ、でもFela Kuti『Underground System』がべらぼうに良かったことだけ書いておく。マイルスのIn A Silent Wayのような、静かなグルーヴ感が感じられる箇所が良い。

Fela Kuti Underground System

吾妻橋ダンスクロッシング 2008/10/12

うまいことチケットを知人から譲ってもらったので、吾妻橋ダンスクロッシングに行ってきた。
ダンスについてはほとんど無知だったけれども、どのステージも非常に見応えがあるもので、見に行けてよかった。
最初に出演したと思われる康本雅子のしなやかな所作は、見ていてはっとさせられる何かを持っていた。ところで、この康本雅子さん、そのあと男性2と一緒にやったステージにも出てたのでしょうか?別の人?というか最初のステージが康本雅子さんであってますか?という状態。公式サイトで確認すると「康本雅子+戌井昭人(鉄割)+村上陽一(鉄割)」という組み合わせがありますけれども。髪型違ったのはかつらですか?
その他ではfaifaiのステージがコミカルで良かった。やはり笑いの力は大きいなぁ、と再認識。

Emotional Drawing 2008/10/11

Emotional Drawing

Emotional Drawing展を見た。
線を引くというプリミティブな行為に宿る情動をテーマにした展示で、非常に充実した内容ダッタ。シンプルな行為にこそ反映される心情はたしかにそれぞれの作品に宿っていたと思うし、比較的多数の作品があったにもかかわらずそれらを全て見せる勢いもあった。ペインティングに比べると制作に時間がかからないドローイングはどうしても多くの作品が展示されることが多く、いわゆるタブローというか、油絵中心の展示でふとデッサンが並んでいる時に感じがちな散漫さというものが感じられる懸念もあったけれども、今回の展示はそういったこともなく非常にまとまった良い展示だったと思う。
見に行ってからぐずぐずしていたらもう展示会は終わってしまっているので、薦めることも基本的にはできないけれども、次は今日とあたりに巡回するようなので、そちらが近い方は是非。

中でも気に入ったのは辻直之のアニメーションとアディティ・シンのドローイング。辻は鉛筆絵によるアニメーションで人間性というものについての探求を行っていた。また、書いては消す、という行為の繰り返しと、完全には消されない鉛筆の跡が、可塑性というキーワードを想起させたことについて、メモしておく。
アディティ・シンはミニマルな構成のドローイングで、静謐であり、構図と視線の移動によるダイナミズムを追求しているのだろうか。
まだちょっと作品について深く考えてはいないので、それはまた別の機会に。



Saturday, October 04, 2008

液晶絵画展 2008/09/22

東京都写真美術館で開催されている『液晶絵画』展を見た。

プロジェクターを使った作品もあったが、展示会の名が示す通り主にsharp製の液晶テレビを利用したヴィデオアート作品が多く展示されていた。その前に見ていたパラレル・ワールド展と比べると、液晶絵画展のほうがずいぶんと楽しめた。

まず会場の広さに対して作品の配置のバランスが良いのがいい。現代美術館等はちょっと広い、というか大き過ぎて、それなりの規模を前提として企画された展示でないとなかなかその会場の魅力を伝えられないように思うが、写真美術館くらいのサイズだとずいぶんフットプリントがちいさくて、今回のような企画でも十分魅力的な展示にすることができている。もちろん会場が小さい分楽できている、ということが言いたい訳ではないけれども。

展示されている作品も刺激的なものが多かった。気に入った作家/作品を挙げてみると
・小島千雪/リズミカルム、砂の陸
・ビル・ヴィオラ/プールの反映
・やなぎみわ/Fortunetelling
・邱黯雄(チウ・アンション)/新山海経2

不勉強でどれも知らない作品だったが、やはりヴィデオアート作品となると時間軸にそってどのような作品を構築するかが大きな課題となることがよくわかる。

他にもブライアン・イーノの作品も良さそうだったが、全体を見るのに80分以上かかり、せめて作品のコンセプトを体験するだけでも多分10分くらいは見てるべきところ、時間の都合でそそくさと次ぎにいってしまったので、これはもしも機会があるならもう少しゆっくり見てみたい。

Wednesday, September 24, 2008

最近見た展示

いくつか展示会を見てきたので報告。

■パラレル・ワールド展

http://parallelworlds.mot-art-museum.jp/
パラレル・ワールド展

「平行世界」をテーマに掲げた展示で、どちらかというと可能世界論的な、有りうべきもう一つの世界というよりは、私たちに認識を転換することで現在の世界が別様にも捉えられることに主眼を置いたような作品が並ぶ展示で、そこそこ面白かった。が、ちょっと全体的に散漫な印象というか、広い空間を使った展示である分、そこがまさに平行世界として成立するような、日常からはなれた空間を作ろうとしていたのかもしれないが、そこまで成功していたようには感じなかった。

その中で印象的だった作品をいくつかあげると、フランスの作家ダニエル・ギヨネのアニメーション作品は我々の身体の内面と、世界の接合の仕方を問うような、あるいは身体の自己同一性や境界とは何なのかを考えさせるような、しかしコミカルなもので、とても気に入った。アルトーの器官なき身体を強烈に意識しているだろう。腕や胴がそれぞれ切り離されては接合し、溶け出し、内側と外側がひっくり返ってまた戻ると言った荒唐無稽な動作の中に、優れて批判的な視座があった。

またローランド・フレクスナーの墨のシャボン玉を使った作品は、カオス理論を使ったCGとも似た、繊細であり、かつ物理現象としての強度を備えた優れたものであった。





えーと、他には写真美術館で『液晶絵画』と、『Visions of America 第2部』を見てきたが(あと現代美術館の常設展も見た)、今日のところはここまで。

Monday, September 15, 2008

近況

ずいぶんと更新してませんでしたので、最近の近況報告を。
しかし、一体誰に対しての近況報告なのか、という点に関しては依然として不明。

■映画
宮崎駿『崖の上のポニョ』
押井守『スカイ・クロラ』

■ライブ
Direct Contact vol.2 (1日目、3日目)

■展示
世田谷美術館 ダニ・カラヴァン展(イベントとして大友良英他のライブ)

■本
古川日出男/『LOVE』、『ベルカ、吠えないのか?』


あれ、こんなもんか。もう少しは見てた気がしてたけれども。
少なくともここに上げた作品はどれも良かった。

『スカイ・クロラ』はつい昨日見たのだけれども、これは最近見た映画の中で特に印象に残る作品であった。僕は少なくとも意識して押井守の作品を見たことは皆無で、だから今回の映像を見て、あ、この感じの映像作品を作っているのが押井守だったのか、ということに遡及的に気づいたくらいな訳だが、映像、そして物語の展開と各シーンごとのタイミングの感じ等、色々思うところがあった。
そして、やはりアニメーションとしての作品の完成度の高さはさすがである。僕はアニメーション映画についての知識はほとんどないようなものなので、本作の映像のクオリティに関してどのように評価されるべきか詳しく理解できる訳ではないが、しかし3DCGのシーンの完成度と、2Dアニメーションのシーンとの接続、あるいは同居の滑らかさは、もはや手書きであることやCGであることの意義を無効化してしまっているように感じた。
で、今スカイクロラのサイトから予告編を見てみたんだけれども、これ、本編見る前には見ちゃダメだな。色々だしすぎだ。うーん、本編の完成度は高いのに。予告編も押井守が作っているのだろうか?違うと思うが、もうそうだとたらちょっと考えものだ。

ダニ・カラヴァン展は舞台装置についての展示と、一つだけ大きな壁画風の作品がとても良かった。緻密で幾何学的で、そして作品が展示、あるいは上演される場と協調するための作品。そして閉館してからのイベントとして大友良英+Jim O'Rourke+Sachiko M+ユタカワサキのライブがあって、これもすばらしかった。彼らの演奏も、カラヴァンの作品群が展示される場と、それぞれのミュージシャンが発する音がそれぞれ作り出す音響空間が、展示場という場に様々な音色の勾配を作り出しており、刺激的な内容であったと思う。

Tuesday, August 19, 2008

Live 2008/08/23

珍しく連続してライブをすることになりました。
8/23(土)、前回やったStudio DOMで、再度オーナーが企画するマラソンLive的なものに参加します。
当日は高円寺阿波踊りも開催されるそうで、ぜひ祭り見物がてらにいらしてください。

それぞれ持ち時間は1時間で、雑多なジャンルのミュージシャンが出演予定。
乞うご期待。

Live at 高円寺 Studio DOM
日時:8/23(土)
場所:高円寺 Studio DOM
charge:未定(不明)
open:14:00 - (all night)
杉森出演時間:15:00 - 16:00 (予定)
出演者:未定(不明)

ギターソロをやろうと思っています。
ご来場お待ちしています。

Wednesday, August 13, 2008

ご来場ありがとうございます

live graphics 01
live graphics 02
live graphics 03

ライブにご来場下さった皆さん、ありがとうございます。
今回は一人1時間で5人のライブが聴けるというハードかつお値打ちなライブでしたが、ご一緒させていただいた皆さんの演奏がすばらしく、僕としても大変刺激的な一日でした。皆さん、そして企画の川染さん、お疲れさまでした。

僕の演奏はこれまでに作っていたものを使った1曲目と、新しいシステムを使った2曲目という構成で行いました。ただ1曲目もフルートとポエトリーリーディングという初の試みをしてみました。2曲目は初めてSuperColliderを使ったパフォーマンスをしました。SuperColliderにメッセージを送信する部分はRubyで自作。さらに初めて、ライブでグラフィックスを使いました。Processingで作ったものを表示しただけですが、意外に気に入るものができました。

色々と本番環境でのアクシデントもありましたが、まあその辺は次回にご期待下さい。

一応、今回の構成をメモ。

■1曲目
Max/MSP (DSP), Flute, Poetry reading(水無田気流)

■2曲目
SuperCollider (Audio Synthesis), Ruby (Controller), processing(live graphics)