Monday, December 05, 2016

2016年ベストアルバム30


2016年の個人的ベストアルバムを30枚。
(しばらくはコメント書いたり動画貼ったり編集する予定)今年は去年に引き続き充実していて素晴らしい作品にたくさん出会うことができた。
以下、もちろん僕が聴くことのできた中からの紹介でしかないが、上位から列挙。
  1. Moe and ghosts x 空間現代 / RAP PHENOMENON
  2. ジャンル
    Rock / Hip Hop
    レーベル
    UNKNOWNMIX / HEADZ
    ウィスパー系フィメールラッパー(という表現が適切かはわからないが)が譫言のようなフロウを聴かせるMoe and ghostと、ポストパンク/ポストインダストリアル/ポストプログレッシヴ/ポストテクノというか、もはや名状しえないような謎の音楽を作る3ピースバンド、空間現代のコラボレーションアルバム。
    中身がなく構造しかないような空間現代の変拍子の中で、幽霊であるところのmoeのラップが浮遊する、全く異次元の音楽。ここまで新鮮な音楽をこれほどのクオリティで演奏することができること自体に驚く。改めて聴いても突き抜けている。Youtubeの「不通」のMVも幽霊っぷりが素晴らしい。

  3. Common / Black Ameria Again
  4. ジャンル
    Hip Hop
    Commonの新作はかなりアコースティックなサウンドになっているが、今年は全体的にアメリカの音楽はそういうプロダクションが多い。アリシア・キーズとかもそうだった。本作はグラスパー参加ということでケンドリック・ラマーとの距離感も気になるが、黒人性を中心にしたポリティカルな作りとサウンドは、やはりかなり近いところにいることを感じさせる。

  5. Beyoncé / Lemonade
  6. ジャンル
    R&B

  7. Radiohead / A Moon Shaped Pool
  8. ジャンル
    Rock

  9. The Bad Plus / It's Hard
  10. ジャンル
    Jazz

  11. Anderson .Paak / Malibu
  12. ジャンル
    Neo Soul

  13. Esperanza Spalding / Emily's D+Evolution
  14. ジャンル
    Neo Soul

  15. Anohni / Hopelessness
  16. ジャンル
    Trip Hop / Dubstep / R&B

  17. Bon Iver / 22, A Million
  18. ジャンル
    Pop

  19. Fire! Orchestra / Ritual
  20. ジャンル
    Free Jazz

  21. Leonard Cohen / You want it darker
  22. ジャンル
    Rock

  23. The Tribe Called Quest / We got it from Here... Thank You 4 Your service
  24. ジャンル
    Hip Hop

  25. Fred Frith, Darren Johnston / Darn Dance
  26. ジャンル
    Experimental / Free Jazz

  27. Savages / Adore Life
  28. ジャンル
    Post Punk

  29. GoGo Penguin / Man Made Object
  30. ジャンル
    Jazz

  31. Danny Brown / Atrocity Exhibition
  32. ジャンル
    Hip Hop

  33. Charlie Haden, Liberation Music Orchestra / Time/Live
  34. ジャンル
    Jazz

  35. James Blake / The Colour In Anything
  36. ジャンル
    Trip Hop / Dubstep / R&B

  37. Cate Le Bon / Crab Day
  38. ジャンル
    Avant Pop

  39. Steve Jansen / Tender Extinction
  40. ジャンル
    Rock / Experimental

  41. MMOTHS / Luneworks
  42. ジャンル
    Drone

  43. Rokia Traore / Né So
  44. ジャンル
    Afro Pop / World

  45. Tord Gustavsen / What was said
  46. ジャンル
    Jazz

  47. Get Well Soon / Love
  48. ジャンル
    Rock

  49. John Zorn / The Mockingbird
  50. ジャンル
    Classical

  51. David Bowie / ★
  52. ジャンル
    Rock

  53. Jameszoo / Fool
  54. ジャンル
    Trip Hop / Jazz

  55. Jenny Hval / Blood Bitch
  56. ジャンル
    Avant Pop

  57. Kanye West / The Life of Pablo
  58. ジャンル
    Hip Hop

  59. Chance The Rapper / Coloring Book
  60. ジャンル
    Hip Hop

Thursday, September 01, 2016

なぞる謎る展ライヴ&トークセッション お礼と補足

改めてなぞる展の「杉森大輔×諸根陽介×佐々木敦 ライヴ&トークセッション」ご来場いただいた皆さんありがとうございました。トークイベントに登壇するなんてことは(ほぼ)人生初でしたが、これも前にツイートしてますがご好評いただいたようで何よりです。とはいえやはり落ち着いて振り返ってみると、いろいろと話し足りていないこともあったので幾つか補足を。

やはり今回の中心的なテーマは「即興」であったわけですが、そうであるとすると必然的に言及すべきなのは「自由」という概念であるわけです。今ここで演奏されている音は、演奏家の自由意志に依っているというのが即興演奏の基本的なコンセンサスであることに疑いはありません。さらに言えば作曲作品、あるいは構成された芸術作品というものは作家の自由意志によって作り出されたものであるからこそ、そこに何らかの自律した価値を含む「作品」として成り立っているわけです。

これらの観念はおそらくヨーロッパ的、キリスト教(一神教)的なもので、物事の因果律を遡っていくと、究極的には人間存在の自由意志、あるいは神の存在に行き着く、という理解があります。つまり、どんな作品にもそれに先立つ作品群によって構成される文脈やスタイルに依存しているわけですが、そこからの差分として表現の拡張を為したのは作家の自由意志である、ということです。この辺りはヨーロッパ的知性の一つの頂点であるだろうカントを参照しても明らかです。カントは賢明にも神の存在を証明することはできないと明言していますが、しかしそれを直感することはできるしそうすべきだ、という趣旨のことを書いています。

しかし本当にそうか。この根源的唯一性こそポストモダンの時代に疑問に付され、現在では実証的にも自我の唯一性は否定されているというのが私の理解です。そのように多数化された価値基準の元で、これからの芸術には如何なる創作が可能なのか。そういったことが音楽の現場でも問われる必要があり、様々な実践は行われています。が、基準点が複数化されている以上、当然それについて良い/悪いを普遍的にラベリングすることは不可能です。

しかしその不可能性に立ち向かうことが現代の批評であるわけです。トークではどちらかというと音楽作家/演奏家として語っていたように感じていますが、書き手としてはそういった困難性について、改めて原稿にできればいいと思います。

というかまたトークのような形での議論もしたいところ。さらに論点を絞った議論も必要だと思いました。カントと即興、という文脈では「物自体」というタームについても言及するべきだと思いますが、この辺りも別のところで展開したいです。

(Twitterからの転記)


Sunday, August 28, 2016

追跡 − なぞる謎る展コンサートのための



地下室で
ミキシングボードのつまみを回す
水面下で戯れる電気雑音は
鉱石の回路
で増幅され影が
リヴァーブによって折り重なり
高音の発信音へと
変成する
編成する
ホワイトキューブに囲まれたエーテルの振動
高温の外気を求め
上昇しては破裂
し、膨らみのある中音域へと
蘇生する
フィードバック音響が示す
塑性に
暗がりに結晶する耳が
ノイズのスペクトラムに旋律の稜線を与える
戦慄の領域
持続する電子音の水平線から
Gibson ES-175
鉄の糸が
中空のボディを鳴らすと
磁場は攪拌され
銀色のピックアップを駆動する
音と音との空隙
律動が示す
小節線
を飛び越え
弦に与えられた異物を震わせ
白と黒との鍵盤に目配せをしながら
切り結ぶ軌跡をなぞって進む
今(今?)
身体に蓄えられた記憶を辿り
テクストを記述する
ギターを爪弾く
この奏者、あるいは私は
あるいはあなたは
何を見ているのか
振り返っても足跡は見えない
思い出せない形を覚えているか
忘却の上に構築される
旋律はあるか
生成される小さな歴史と物語
追跡せよ
もう途絶えてしまった痕跡を追って
暗い夜が隠す
形相を探せ

PDF

Thursday, August 25, 2016

杉森大輔×諸根陽介×佐々木敦 ライヴ&トーク(山本浩生個展イベント)

杉森も所属する批評家集団アラザルのメンバーで、美術家でもある山本くんの個展のイベントでライヴします。 同じくアラザルの諸根くんとお互いにソロをやった後にデュオもやります。 杉森はギターとエレクトロニクスを使った電子音響の即興パフォーマンスをする予定。
また今回のライヴに当たってのテクストはこちら。ライブでは69年製のGibson ES-175(フルアコのギター)と、64年製のFender Prinston(アンプ)という、僕にとってはいつもの組み合わせでやります(それ以外の機材も使うけど)。凄く良い音なんでそれだけでも聴きにきて欲しいところ。
ライヴの後は批評家でアラザルの恩師である佐々木敦と杉森・諸根でのトークセッションもあり、盛りだくさん。 ご都合つく方は是非。
もちろんイベント前には山本作品の展示も観覧できます(展示のみの場合無料)。

  • 杉森大輔 ソロ
  • 諸根陽介 ソロ
  • 杉森×諸根 デュオ
  • 杉森×諸根×佐々木敦 トーク

  • 日時:8月28日(日)18:00~20:00
    入場料500円(1drink付) 
    『なぞる謎る』 佐々木敦+アラザル企画 山本浩生個展
    https://yamamotonazoru.tumblr.com/
    於:新宿眼科画廊
    〒160-0022 東京都新宿区新宿5-18-11
    03-5285-8822
    佐々木敦のTwitterからの抜粋

    なぞる謎る展のページからの抜粋。
    杉森大輔と諸根陽介は、アラザルのメンバーで、ともに音楽家で批評家、批評家で音楽家です。杉森のレパートリーはモダンジャズから実験音楽まで幅広く、知的でクールそして極限まで洗練された感性をもっています。今回はギターを使ったエレクトロアコースティックパフォーマンスを展開します。諸根陽介は、原理的な<音>を極限まで追求し、そのライブは、観客に<音>の「発見」をもたらし、それはいつも刮目させられるものです。そのような2人のコラボレーション、ソロ、そして終わった後に佐々木敦と2人のトーク。この日は、視覚聴覚言語、それぞれにわたり超/高スペックな表現で観客を唸らせます!!!

    Wednesday, April 09, 2014

    STAP細胞問題について

    STAP問題関連でツイッターでつぶやいたことをこっちにも追記して転載。内容は編集してます。

    専門家の方が既に指摘してることなので改めて僕なんかがいうようなことではないけど、STAP細胞については、最初の論文がその存在を証明、あるいは保証するための文書だった訳でしょ。それに不備、というか実質的には改竄があって信用できない、となればそれは当然著者に責任がある。だからSTAP細胞の存在を改めて証明したいと思ったら、その根拠になるようなデータなり何なりを著者自身が提示しなかったら話は進まない。それがなされるまでは、STAP細胞なんて存在することを信じる根拠はなにもない(著者たちの「あった」という主張を除いて)。もっと正確な追試が必要とか、人を投入して云々っていうのは、もちろん小保方が社長をしている会社とかであれば好きにやればよい話だけど、その存在を信じるだけの根拠がそろわない以上、税金使ってやるような話ではない。今回の会見でも何度も試験でSTAP細胞の生成に成功しており、ノートも提出していないものがあるっていうんだったら、それを検証できる形にするのが先なのは当たり前。まあ今となっては(提出済みのものも含め)それらのノートが本当に正確な実験結果を記載しているのかは闇の底ではある。とにかく「わたしを信じて」とかいうんだったらその根拠を出せっていう、単純な話な訳でしょ。それをしないんだから全ては確信犯の真っ黒け、と考える以外にないですわな。 というか山ほどある論文の不正に対する説明も実質的に何もありませんね。記者会見で主張されたのは悪気がありませんでしたとかいう謎の言い訳くらいのもので。

    小保方の論文改竄は佐村河内のゴーストライター問題と重ねて語られているけど、根本的に小保方の方が悪質。佐村河内のほうは、すくなくとも指示書とか言う形で作品の作者と言えるだけのものを持っていた訳だから、新垣氏との共作ということであれば何の問題もなかった。音楽作品が五線譜の形以外で表現されてはいけない理由はないし、実際そのように表現された現代音楽の作品は幾らでもある。もちろん彼の作成した「指示書」の作成は世間の言う作曲行為ではなかったし、彼自身もおそらくそれが作曲行為と呼べるものであると考えてもいなかっただろう。だから彼がやったことは、ブランド品のパチもんで商売していた悪徳業者くらいのもので、詐欺師呼ばわりされても仕方ないとは思えど、なんというかあえて目くじらたててどうこう言うほどのことではないんじゃないか。要はただのしょうもないゴシップなだけ。

    しかし小保方のほうは科学という、「事実」を扱い、信用が重要であるアカデミックな分野で不正を行った。だから今後彼女の行った研究不正のために、日本の研究者の言うことが信用できないとなれば、今後論文が提出されたらいちいち書かれている実験結果とかまで検証した上でないとその論文が信用できないような状況を作りかねない訳で、科学の研究活動に著しいダメージを与える可能性がある。今回の一件で科学の世界での日本という国の信用が著しく毀損されたかもしれない。これは彼女一人で責任が取れるような問題ではなくなってきている気もするが、理研の対応の悪さもあってもうどうしようもない、っていうのが現状のようですね。そういう意味では早稲田が小保方のいた科のD論を全部調査するっていうのは、そりゃやらされる教授陣およびその教授の研究室の生徒たちにしたらいい迷惑でしょうが、彼らを守る意味でもよい判断じゃないでしょうか。もちろん誠実に実行されればの話ですが。

    この期に及んでおぼちゃんかわいそうみたいな反応が多いらしいのを見聞きして、若干絶望的な気分になったので思わずコメントしました。

    Sunday, December 22, 2013

    さようなら、ホールじいさん

    僕の会社のオフィスの出入り口のあたりには、映画や美術展なんかのパンフレットを置くスペースがあって、そこにはよく東京Blue NoteやMotion Blueのものも置かれている。先日もMotionBlueのパンフレットがそこにあり、表紙の写真にはジム・ホールとロン・カーターが写っていた。もちろんどちらも言わずと知れたジャズ・ジャイアンツである。

    数年前に彼らが来日してブルーノートに出演したときは見に行くことができたのだが、今度もまた来日するのか、と思ってそのパンフレットと手に取ると、挟まっていた白い紙がひらりと滑り落ちた。オフィス用紙にプリンターで印字されたその紙には、「某年某月、ジム・ホール氏が自宅で亡くなりました。公演は中止となります。慎んでお悔やみ申し上げます。」というようなことが書かれていた。

    僕は大学時代にジャズ研でギターを弾いていた。もちろんウェス・モンゴメリーやケニー・バレル、グラント・グリーンといった黒人ギタリストの張りと密度のあるサウンドとブルージーなフレーズは、まさにジャズギターそのものであり、それはそれで素晴らしいと思って聴いていた。しかし当時から絞り込んだトーンが鼻にかかったようでぼんやりとしており、ギターというよりは真空管がなっているような独特のサウンドで、複雑にハーモナイズされたバッキングとソロを聴かせるジム・ホールは特別な存在だった。中でもポール・デスモンドと共演している一連の作品は、洗練の度合いにおいて飛び抜けている。

    前回の来日のときには、ロン・カーターはまだまだしっかりとしていて安定感が感じられたが、ジム・ホールは既にヨボヨボだった。しかしそのヨボヨボのホールじいさんは、はっきり言ってほとんど脳を使わずに演奏しているように見えた。ロン・カーターのベースに乗り、加齢によって(少なくとも瞬間的には)おそらく論理的な思考がほとんど不可能になった老人は、即興する機械と化してギターを弾いた。長年の演奏の積み重ねによって、まさに身体に蓄えられた反射神経のみによって演奏されるジャズ・ミュージック。僕はそのとき、昆虫が刺激に反応するようなアドリブだと思った。

    さようなら、ホールじいさん。あなたなら天国ででも演奏できるでしょう。どうか安らかに。

    Tuesday, December 10, 2013

    オーディオ届く

    オーディオショップをいくつか回って、先日CDプレーヤーとプリメインアンプを購入。翌日には届いたので鳴らしてみると、想像よりもさらに少しいい具合で、とても嬉しい気持ちになりました。店員さんに色々相談しながら試聴した結果、どちらもMarantzになった。CDプレーヤーは新品でプリメインは中古。あと家に親から譲り受けたまま眠っているパワーアンプがあるので、そのうちこれも使うようにしようかと思っている。新しく買ったもののセッティングしている最中にこっちも鳴らしてみたら良い感じだった。ただ今はちょっと置き場に難があるので、時間があるときに工夫しないといけない。

    しかしやはりオーディオは怖い世界で、ケーブルにも中古品があって、今回のぞいた中でも100万超えるようなものも平気で売られていた。発売時は300万位したようだ。店員さんの話では、10年前くらいにケーブルにこるのが流行ったらしく、そのころは10万超のケーブルがバンバン売れたらしい。

    しかし普段iPhoneでやっすいイヤフォンでしか聴いてなかった音源とかを今回購入したシステムで聴いてみたが(ちなみにビヨンセ)、もの凄い情報量が多くて驚く。あと奥行き感と空気感みたいなものがやっぱり違うなあ。

    とはいえ、ここからさらに音が良くなるイメージは、うーんたしかにあるのかもしれないが、そのために今回の何倍とかお金をかけるところまでは、今の時点では想像できないかな。どうだろうなあ。たしかにスピーカーとかはよいものを見つけたら欲しくなりそうだけど。。

    テッド・チャンは読了し、今はアーレント『過去と未来の間』を読み始めているが、やはり時間があまりとれていないのでもの凄くゆっくり読み進めている。アーレントは『人間の条件』しか読んだことがないのだが、『過去と未来の間』もやはり公的な存在としての人間を扱っていて、どうもどの著作にも凄く一貫したテーマを持っているらしいことがわかる。しかし今年中に読み終わるかな。