Thursday, October 16, 2008

Ana Moura

スターバックスでニーチェを読んでいたところ、ふと泣きたいような気持ちになってきて、そこまで移入して読んでいたのかといささか驚いたが、実際はBGMでかかっていた音楽に感動していたのだった。ジプシー的なギターと情熱的な歌唱で、ファドの歌手かなーと思って店員に訊こうかと思ったが、有線で流しているとしたらわかる訳も無し、ということで一度あきらめるも、帰り際にやはりと思って訪ねてみたら、店内で試聴できるCDに収録されていた。
店でかかっていたのはAna Moura "Fado de Pessoa"。ファドなんて一度も聴いたことがないし、当然この歌手も初めて名前を聞いたが、すばらしい歌唱力。不覚にもスタバに一本とられた。

Last.fmで色々聴ける。
http://www.lastfm.jp/music/Ana+Moura?autostart=1

あとはYouTube






今年であった音楽の中で、特に感動的な出会いの一つかもしれぬ。

Tuesday, October 14, 2008

最近の色々

アントナン・アルトー『神の裁きと決別するために』

最近読んだ本
・アントナン・アルトー『神の裁きと決別するために』を読んだ。決然とした意思の強度と文体の速度など、極めて刺激的な読書体験があった。聖と俗、主体と客体の一致という点でバタイユを彷彿とさせる。
・というわけで読み止しで放ってあったジョルジュ・バタイユ『内的体験』を読む。まさに主体と客体の区別がなくなる地平での「体験」についての書で、これも極めて刺激的な本であるが、しかしちょっと僕の方がついていけていない点があるのが残念。また腰を落ち着けて再読したい。
・続いてアントナン・アルトー『ヘリオガバルス』を読み始めたのだが、うまく入り込めず。
・今はフリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』を読んでいる。高校、大学でそれぞれ読んでいたて、読了はしなかったが、それでも今読むと結構この本から得たものは多かったような気がする。やはりすばらしい。しかし今読んでいるのは中央公論社の「中央バックス 世界の名著」シリーズなのだが、ちょっと注が多すぎる。

最近見た映画
・フランシス・コッポラ監督『コッポラの胡蝶の夢』を見た。夢と現実が交錯し、円還的時間のなかでの老い、生と死、愛と到達不能性などがテーマになった、非常に美しい映画。必見だけれども、これももう終わってしまったようですねえ。

最近見たライブ
・少し前になるけれども、Amplify 2008 Lightを見た。3日目の演奏で、「キース・ロウ/Sachiko M」、「山内桂/吉村光弘」、「キース・ロウ/中村としまる」というDuoを3つ聴くことができた。特に後の二つの演奏が個人的には良かった。中でも山内桂氏のサックスはエヴァン・パーカーを通過した後で、独自の音色を作り上げており、特筆すべき個性を持っていた。
・HEADZのイベントでD.V.Dとテニスコーツの対バンライブを見た。これはD.V.Dの方が面白かった。D.V.Dについてはここで書く記述レベルだと、見ればわかるでしょ!ってくらいのことしか書けないくらい、体験したときの面白さが格別だ。それに比べてテニスコーツは、うーん、とりあえずギターの演奏の技術的な未熟さがどうしても気になってしまった。音楽的にも、僕としてはCDで作り込まれた音像の方が優れているように思う。

最近聴いたCD
・略
・あ、でもFela Kuti『Underground System』がべらぼうに良かったことだけ書いておく。マイルスのIn A Silent Wayのような、静かなグルーヴ感が感じられる箇所が良い。

Fela Kuti Underground System

吾妻橋ダンスクロッシング 2008/10/12

うまいことチケットを知人から譲ってもらったので、吾妻橋ダンスクロッシングに行ってきた。
ダンスについてはほとんど無知だったけれども、どのステージも非常に見応えがあるもので、見に行けてよかった。
最初に出演したと思われる康本雅子のしなやかな所作は、見ていてはっとさせられる何かを持っていた。ところで、この康本雅子さん、そのあと男性2と一緒にやったステージにも出てたのでしょうか?別の人?というか最初のステージが康本雅子さんであってますか?という状態。公式サイトで確認すると「康本雅子+戌井昭人(鉄割)+村上陽一(鉄割)」という組み合わせがありますけれども。髪型違ったのはかつらですか?
その他ではfaifaiのステージがコミカルで良かった。やはり笑いの力は大きいなぁ、と再認識。

Emotional Drawing 2008/10/11

Emotional Drawing

Emotional Drawing展を見た。
線を引くというプリミティブな行為に宿る情動をテーマにした展示で、非常に充実した内容ダッタ。シンプルな行為にこそ反映される心情はたしかにそれぞれの作品に宿っていたと思うし、比較的多数の作品があったにもかかわらずそれらを全て見せる勢いもあった。ペインティングに比べると制作に時間がかからないドローイングはどうしても多くの作品が展示されることが多く、いわゆるタブローというか、油絵中心の展示でふとデッサンが並んでいる時に感じがちな散漫さというものが感じられる懸念もあったけれども、今回の展示はそういったこともなく非常にまとまった良い展示だったと思う。
見に行ってからぐずぐずしていたらもう展示会は終わってしまっているので、薦めることも基本的にはできないけれども、次は今日とあたりに巡回するようなので、そちらが近い方は是非。

中でも気に入ったのは辻直之のアニメーションとアディティ・シンのドローイング。辻は鉛筆絵によるアニメーションで人間性というものについての探求を行っていた。また、書いては消す、という行為の繰り返しと、完全には消されない鉛筆の跡が、可塑性というキーワードを想起させたことについて、メモしておく。
アディティ・シンはミニマルな構成のドローイングで、静謐であり、構図と視線の移動によるダイナミズムを追求しているのだろうか。
まだちょっと作品について深く考えてはいないので、それはまた別の機会に。



Saturday, October 04, 2008

液晶絵画展 2008/09/22

東京都写真美術館で開催されている『液晶絵画』展を見た。

プロジェクターを使った作品もあったが、展示会の名が示す通り主にsharp製の液晶テレビを利用したヴィデオアート作品が多く展示されていた。その前に見ていたパラレル・ワールド展と比べると、液晶絵画展のほうがずいぶんと楽しめた。

まず会場の広さに対して作品の配置のバランスが良いのがいい。現代美術館等はちょっと広い、というか大き過ぎて、それなりの規模を前提として企画された展示でないとなかなかその会場の魅力を伝えられないように思うが、写真美術館くらいのサイズだとずいぶんフットプリントがちいさくて、今回のような企画でも十分魅力的な展示にすることができている。もちろん会場が小さい分楽できている、ということが言いたい訳ではないけれども。

展示されている作品も刺激的なものが多かった。気に入った作家/作品を挙げてみると
・小島千雪/リズミカルム、砂の陸
・ビル・ヴィオラ/プールの反映
・やなぎみわ/Fortunetelling
・邱黯雄(チウ・アンション)/新山海経2

不勉強でどれも知らない作品だったが、やはりヴィデオアート作品となると時間軸にそってどのような作品を構築するかが大きな課題となることがよくわかる。

他にもブライアン・イーノの作品も良さそうだったが、全体を見るのに80分以上かかり、せめて作品のコンセプトを体験するだけでも多分10分くらいは見てるべきところ、時間の都合でそそくさと次ぎにいってしまったので、これはもしも機会があるならもう少しゆっくり見てみたい。